スポ娘のエヌコ2(つづき)
すみおん「さてさて、ほんじゃいってみよう。エヌコが一番固そうだから先頭でいってちょ~」
エヌコ「えー、すーみんさん、経験者でしょ?FA行ってくださいよ!」
す「やだび~。それにワタシ、経験者とは言ってないよ? わっはっは」
N「え゛え゛え゛・・・ じゃ、みんな初クルマなの?」
す「そうだね、初詣で。佐野厄除け大師」
シープ「まぁ、ここまで来たならひとまずやってみましょう。ただ…わたくしのヒール量は本当に少ないですよ? すいませんが・・・」
す「オ~ケ~ Go Go エヌコ!! 行ってみよ――――!!」
N「あーもー!! ひとまずポルタいきまーーす!!」
★ ★ ★
す「は~い、おつかれ~ ・・・・いやぁ~、固いったらないね!!」
N「・・・・ぐえええ。たった2体でこの疲労感・・・ シープ、大丈夫?」
シ「こんなに連続でヒール詠唱したのは初めてかもしれません。身体が慣れませんね…」
N「こんなの無理無理!! 時間とショットのムダだよ! あんな真っ赤な敵、まともに倒せるわけないじゃん!」
す「ん~、そうかなぁ? ワタシは楽しいけどぉ」
N「すーみんさんはいいだけ殴ってるだけでしょ!シープはもうMP枯れちゃったじゃない!」
す「んん~? やり方も考え直さずにあきらめちゃうのぉ~?」
N「え?」
シ「・・・確かに。やり口を変えてみる余地はあるかもしれません」
N「え、どういうこと?」
シ「MPが枯れたのはヒールの回数が多すぎるからです。それはすみおん様、お嬢様の両方にヒールをしているから、と存じます」
す「♪あたしたちは~ まだ~ 転がってない~ 青い空ラララ~」
N「ちょっと、すーみんさん、何歌ってんですか! いま、込み入った話をしてるんです! で、それで?」
シ「お嬢様がFAして叩き始めたのち、すみおん様が殴りかかる。しかし途中ですみおん様にタゲが移っているのです。つまり、すみおん様の方が攻撃力が高い。」
N「あー、全然気づかなかった・・・」
シ「なので、すみおん様がFAに回った方がよいと思うのです」
す「♪なあるほどおおおお それは~ いいかもぉ~~」
N「・・・マジメにやってくださいよ」
す「じゃ、そういうことでさっそくいってみよう!」
(ひゅむ)
N「あ、え、はやっ!!」
シ「お嬢様、遅れないで!」
★ ★ ★
シ「いったん通路に! バフの更新時期です!」
す「あいお~」
N「はあはあ・・ やっぱりキツイじゃない。ヒール回数は若干は減ったようだけど…」
す「ああ~ FAはやっぱり楽しいわ~★ ポルタにガンを飛ばして殴りかかるときのビックリした表情がたまらない~」
N「石巨人に表情があるわけないっしょ!! う~ん、それよりっ!やっぱキツイばっかりで効率悪いよ!無理があるっ!!」
す「♪本当に~ これで~ 終わりなの~ 愛のぉ~ お~わ~りぃ~~」
N「・・・終わりっしょ、シープのMPが続かないよ」
シ「うーん、確かに… あまり手はないかもしれませんね…」
す「♪愛は~ 努力~ 戦いは~ くふう~~ …例えばねぇ~・・」
N「何かあるの?」
す「エヌコ、脱いで」
N「えええええ、な、なにを言い出すの!?」
す「はい、シープくん★ 回れ右ぃ~」
シ「ああ!す、すいません、あいすいません!!」
す「エヌコと防具を入れ替えてワタシを一番硬い防具で固めちゃう。
ワタシFAで、エヌコは2秒待ってから叩きにきて。シープも叩いていいけど、クラトルは後衛を狙って魔法撃ってくるから、そこだけは離れていて。それでダメージはほぼワタシに集中する。あとはワタシももう一工夫でこれを使う」
シ「これは… ヴァンパイアリックレイジスクロール?」
す「そそ、近接たるもの、HPなんて敵から吸えばいいの★ これだけでだいぶヒーラーが楽になるはず~。 はい、エヌコも使ってみ~」
N「な、なるほど・・・」
す「そんじゃ、CMの後、さらに続きま~す★」
(ひゅむ)
N「あ!相変わらず速っ! ちょっと!!CMって何!?」
★ ★ ★
N「こ、これは・・・ シープの負担が格段に・・!」
シ「はい、基本、すみおん様だけに注意を配ればよくなってきました!」
す「わかってきた? どんどんいくよおぉ~ ペースアーーップ!!」
N「ちょ!! そこ行ったらポルタとクラトル、大リンクしちゃうよ!!」
N「♪限界は~ 突き抜けて~ はじめてわかるのさ~~」
N「ああああ!!! もう!固い、連中ね!! シープ頑張って!!」
シ「ヒール! ヒール! ヒール!!」
す「まず最速で詠唱し続けて得られる結果を受け止めなさい! ヒーラーとしての限界を自分に叩き込むの! 」
シ「はっ!」
す「慌てずとも重装備の近接なんてそう簡単に死ぬもんじゃない。よく見て、ヒール機会はそんなに必要かを考えなさい。手が空くなら殴って!!」
シ「え、あ、はい!!」
す「戦況をよく見て、場合によっては後衛も殴って道を切り拓く! 殲滅を優先して敵を倒してからヒールしたっていいんだから」
シ「確かに! そういう、やり方も、ありますね! ええい!!」
す「後衛はやれることが無限にあるの! これが3人PTの面白さ! 2人で出来ないことも3人でならできたりする。たった一人の機転で戦況が変わるの~ ああ、楽しいったらない~♪」
N「・・・たのしくなってきた!」
す「どう、エヌコ? 20台3人が真っ赤な敵に挑むのは無謀?」
N「いえ・・・ 工夫次第でやれるような気がしてきました!!」
す「そう!よかった! ひとつ、大きくなったんじゃない?
その小さな胸が★」
N「な!!!」
す「あーはっはっは!!! さあ~レベルアップ間近じゃな~い?どんどんいくよ~」
★ ★ ★
N「シープ!おめ!!」
シ「ありがとうございます!お嬢様! 遅ればせながら、わたくしも皆さんと同じLv28に相成りました!!」
N「すーみんさんのおかげで、みーんなレベルアップ!!ありがと、すーみんさん!! ・・・ってあれ?」
シ「?」
N「いない・・・? す、すーみんさん!?」
シ「・・・・確かに、気配がありませんね。帰還した形跡もないですし?」
N「・・・どうしちゃったんだろう? ああ、ここ危ないから、ひとまず通路へ!」
シ「あ、はい、お嬢様」
・・・
N「うー、戻ってこないね? どうしちゃったんだろう?」
シ「どうされたんでしょうね?・・・ ご無事だとよいのですが・・・」
N「しかたない。いったん帰還しよう・・ きっと連絡してくるよ」
シ「もう、夜明けになりますか・・・ 戻られませんね・・・」
N「うん・・ 本当に、どこへ行ったんだろう?」
シ「・・・・・」
N「しょうがない。今日は解散しよう。うー、それにしても、すーみんさん、わたしのハーフプレート持ってっちゃったんだよね」
シ「ああ、そういえば、ドロップも全てすみおん様が拾ってらっしゃいましたね」
N「そんなことは問題じゃないんだけど・・・ でも・・・」
シ「・・・?」
N「いや・・・ なんでもない。思い過ごし。 じゃ、また!連絡する!!」
シ「あ、はい、おつかれさまでした、お嬢様!! また、後日に!」
~ ~ ~
~ ~
~
拝啓 エヌコ殿
すみおんです。
先日はおつかれさまでした。
突然いなくなってしまい、大変失礼致しました。
あの日の襲撃がなければ、ワタシのチカラももうちょっと長く使えたのに…
あ、いや、それはこっちの話。
単刀直入にいきましょう。
すみおんは
純生
です。
純生自身がいまだ発見と研鑽の日々を送っており、自分を突き進ませることに必死で、忙しく過ごしています。
ふと目を閉じて星空を見上げたとき、ワタシは君たちのことを忘れ去っていた自分に気づくのでした。もっともっと暴れてみたいだろう君たちのことを、ワタシは一顧だにしていませんでした。
申し訳ない。
猛省の意を込め、ワタシは君たちとともに戦える存在「すみおん」を密かに準備してきました。そしてほんのわずかな時間ではあったものの、ついに君たちと狩りに出ることができました。君たちと同じ目線で一緒に狩りをするという夢が、叶ったのです。
楽しかった。本当に楽しかった。
なにより、うれしかった。
ありがとう。
あの日の狩りを通じて君たちには、未知に飛び込む度胸と、工夫の大切さを、小賢しくも伝えておきたかったのですが、何か得たものがあったなら、幸いです。
ああ、そうそう。
あの日の狩りで、現物(D-DAI、ミスリルチュ―ニック)が出ていたんだっけ。
同封しますね。使うもよし、売りさばくもよし。自由にしてください。
紙幅が尽きそうなので。
最後に、
ハーフプレート一式はワタシが預かっている!!
返してほしくば、祝D-SPS図をスポってこい!
じゃ、ひとつよろしく頼むよっ! またな!
純生 拝
N「・・・だってさ!! やっぱり、時々動きがおかしいと思ったんだよね!」
シ「そうだったんですね・・ 何とも不思議な佇まいを感じてはいましたが」
N「じゃーん、D-DAIもらっちゃった! このグレイブに貼っちゃおうかな~?」
シ「あああ、主力武器に貼るのはおやめになった方が・・・ ああ、そういえば、わたくし宛てにはリチャージの魔法書を同梱してくださいました。嬉しい限りです」
N「あー、そうか、Lv28ってリチャージが使えるようになるんだー よかったね!」
シ「お嬢様もLv28で念願のスポイルLv3に。ますますスポ活動に磨きがかかりますね」
N「アハハ! もう今すぐにスポしにいきたい!楽しみでしょうがない!!」
シ「ふふ、それでは祝D-SPS図のスポイルにトライしましょう。
ターゲットはLv28バシリスク。ハーフプレート一式を賭して、やってみますか!」
N「うんっ!!」
リネージュ2 ショートストーリー「スポ娘のエヌコ2(ドス)」
原案・取材・スポ・撮影・執筆: 純生
2018 (c)Jun-nama All rights reserved.
*この物語はフィクションです。一部、実存する存在をベースにしていることがあります。
★ ★ ★
N「7、8、9の10。これで10体目か・・・ さすがにそう簡単には光ってくれないね! 今日も長い戦いになりそう!」
シ「大丈夫ですよ、お嬢様。みっちりリチャージ致しますから。」
N「アハハ!そうだった! よろしくね、シープ!」
【おわり】